鳥居の数

〈来歴〉シリーズ

鳥居の数

その数に、書かれた頁も、記録庫もない。証人は、それを託された身体だけだ。

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物語

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伊勢で、若い巫女ハナは古来の遷宮の律動を学んでいる。材木を一本ずつ、歩みを一歩ずつ、息をひとつずつ。師のセツコは、何ひとつ忘れてはならないと教える。だが、ひとつの欠落だけが二十年ものあいだ残されてきた。

ハナの母は、鳥居の数からたったひとつを落とした。失われた一年に対応するのは、前の遷宮で伐られるはずだった檜。その木はいまも生きている。

儀式の記憶から森へと続く空白をたどるうち、ハナは母の最後の奉仕を包む沈黙へ踏み込んでいく。答えを得るたび、数を守ってきた人々は脅かされる。問いを重ねるたび、従うことと慈しむことの違いが試される。

次の守り手になるために、ハナは向き合わなければならない。受け継ぐことが何を繰り返させ、愛が何を隠させるのか。そして、失われたものに名を与えたあとも、伝統はひとつのままでいられるのか。

鳥居は、人が黙ることを選んだものを覚えている。

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作品情報

シリーズ
〈来歴〉シリーズ
入手状況
制作中
言語
日本語
出版社
LPH98.lifestyle
著者
L.P.H. Nordhaven
読む順番
一冊で完結する小説