逆さに数えるわたしたち

〈もしも〉シリーズ

逆さに数えるわたしたち

ヴァルミラでは、人は老いて生まれ、若くして死ぬ。エリアーヌは日ごとに軽くなっていく。トマスは言葉が尽きかけている。

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物語

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ピレネー山脈の遥か高みに位置するヴァルミラの村では、流れる時間が他とは違っている。この地の人間は、しわを刻み、知恵を蓄えた状態でこの世に生を受け、記憶の束縛が解けるにつれて若返っていく。その理由は誰にもわからない。彼らは羊を飼い、冬の薪を積み上げ、何世代にもわたってそうしてきたように、互いを労わり合って暮らしている。

エリアーヌの見た目は八十七歳だが、村の数え方ではまだ若い。関節の痛みは和らぎ、体には力が満ちつつある。一方、トマスは子供用のコートがぴったり合うほど小さくなっているが、その胸には、人生の終焉を迎えつつある大人の精神と深い悲しみを抱えている。

二人は、共に老いるという約束のないまま愛し合っている。二人にとって、愛とはきわめて具体的なものだ。風に抗って襟元を正してやること、忘れてしまった言葉を恥じることなく補ってやること、そして、今日はどちらがどちらを支えるべきかという日々の問いかけ。

トマスが名前や記憶、そして身長を失っていくにつれ、エリアーヌが手にする新たな「軽さ」は、罪悪感の源となっていく。川のせせらぎは、ほどけゆく心を誘う。そんななか、一人のよそ者が、トマスを村の最も古い掟から引き離しかねない提案を持ちかける。そして、トマスを守ろうとするあらゆる行動が、エリアーヌを「慈しみ」と「支配」の境界線へと追い詰めていく。

約束を果たすため、エリアーヌは知らねばならない。崩れゆく誰かを愛することは、その人が踏み出す最期の一歩の行き先まで支配することではないのだと。

あり得ざる時間、不均衡な愛、そして、いつかは手放す覚悟を持ちながら誰かを支え続ける勇気を描いた、野性味と優しさを湛えた文学的寓話。

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作品情報

シリーズ
〈もしも〉シリーズ
入手状況
制作中
言語
日本語
出版社
LPH98.lifestyle
著者
L.P.H. Nordhaven
読む順番
一冊で完結する小説