
物語
この一冊で待つもの
積み荷はタウデニの塩。骨のように白く、手で切り出され、綱で縛られた板状の塩には、過去の積み荷に語りかけられたすべての名が息づいている。千キロ先のトンブクトゥへ向かう道で、シディは毎晩その名の連なりを唱えなければならない。忘れられた塩は苦くなる。苦い塩は、どの台所にも使えない呪いとなる。
兄ハメドも同じ掟を知っていた。二年前、横断の途中で渇きに命を奪われ、酸っぱくなった積み荷を砂漠に残した。
シディは、そこへ戻っていない。
まずは新しい積み荷を、悲しみで味を損なわずに届けなければならない。昼は焼けつき、夜は凍える。水、綱、ラクダの足裏、そして記憶。そのすべてが正確な注意を求める。過ちには重さがあり、名を一つ呼ぶたびに息を使う。
だが先へ進むほど、シディは確信を失っていく。無事な積み荷は、かつて別の積み荷が捨てられた場所を本当に通り過ぎられるのか。
商人は前を行く塩に何を負い、兄弟は後に残された塩に何を負うのか。
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作品情報
- シリーズ
- 〈もしも〉シリーズ
- 入手状況
- 制作中
- 言語
- 日本語
- 出版社
- LPH98.lifestyle
- 著者
- L.P.H. Nordhaven
- 読む順番
- 一冊で完結する小説


