鐘の番人

〈もしも〉シリーズ

鐘の番人

ハディヤは三十年間、誰もいない街区の鐘に応え続けてきた。

制作中

物語

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サナアの古い家々には、小さなブリキの鐘があり、その綱には家族の名が記されている。戦争で住民が散り散りになっても、鐘は鳴り続けた。ハディヤは鐘の番人となった。日暮れに一巡し、一軒につき一度綱を引き、力強い音で不在の家族とその扉をつなぎ留める。

澄んだ音なら、家族の物語はまだ終わっていない。虚ろな音なら、もう誰もいない。

娘ナワルの鐘は、いつも澄んでいた。それがハディヤに届く唯一の便りだ。彼女はその音に、音が約束できる以上のものを求めないことで人生を築いてきた。

だが今、路地に虚ろな音が紛れ込んだ。

ハディヤには、その家が見つけられない。風と石と記憶が、音を壁から壁へ投げ返す。正しい綱を見つけるまで、すべての鐘が同じ恐ろしい可能性を秘めている。

注意を向けることで家族の声が保たれる街区で、一人の老女は、沈黙が代わりに答えを選ぶ前に、悲しみと距離を聞き分けられるだろうか。

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作品情報

シリーズ
〈もしも〉シリーズ
入手状況
制作中
言語
日本語
出版社
LPH98.lifestyle
著者
L.P.H. Nordhaven
読む順番
一冊で完結する小説