
物語
この一冊で待つもの
ラ・パルマ島の集落の上では、毎年夏になると雲の海が松林へ押し寄せる。ヤイサは森の上端でそれを迎える。彼女の呼び声に応え、霧は松葉や石造りの貯水槽、そして麓で暮らす人々の杯へと降りてくる。
何十年ものあいだ、この仕事は彼女の身体に宿ってきた。記録することはできない。後継者は、息と均衡で天候を学び、いつ呼ぶべきか、薄い雲が何も求めていないのはいつかを知らなければならない。
ヤイサの息子は島を去った。若者はほとんど残っていない。季節最初の霧まであと二週間。けれど、弟子になり得る者はみな別の人生を持ち、登らない理由を抱えている。
存在とは関係である。関係には声がいる。
その名を知るただ一人が独りで呼ばなければならないとき、村の水はどうなるのか。
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作品情報
- シリーズ
- 〈もしも〉シリーズ
- 入手状況
- 制作中
- 言語
- 日本語
- 出版社
- LPH98.lifestyle
- 著者
- L.P.H. Nordhaven
- 読む順番
- 一冊で完結する小説


