フェルトの山

〈来歴〉シリーズ

フェルトの山

濡れたフェルトには、どんな手の跡も消えずに残る。

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物語

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九年前に死んだ男からポンチョが届いたとき、ワラにはその衣がまだ役目を終えていないと分かる。擦り切れた肩にはフェリペの手を、打ち固められた毛羽には別の作り手たちの手を感じる。そして衣は、それを受け取るはずの見習いママニへと続く道を示す。

ママニの母は亡くなったばかりだった。彼女はその布を拒む。

そこでワラは、ポンチョを高地の牧草地へ運ぶ。村から村へ進むたび、ポンチョは名前を集めていく。そして、物は遺物にならずとも所有者より長く生きられるのだと、ワラに教える。

ワラの体には、もう一着の未完成の衣が寄り添っている。二十年前、母はワラの婚礼のためにそれを作りながら死んだ。それ以来、衣は冷たいままだった。

今、二枚の布が同じ両手に何かを求めている。山が差し出す答えは、天候と距離、そして次の誠実な一歩だけだ。

受け継いだものを置くこともまた、それを故郷へ運ぶ方法なのだとしたら。

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作品情報

シリーズ
〈来歴〉シリーズ
入手状況
制作中
言語
日本語
出版社
LPH98.lifestyle
著者
L.P.H. Nordhaven
読む順番
一冊で完結する小説