
物語
この一冊で待つもの
1978年、スコットランドの孤島で灯台を守るマーラ・クイン。沖合はるか黒い海で、パイプラインの溶接にあたるカシアン・ヴォス。ある日、カシアンの油じみた作業記録の紙片が島に流れ着き、マーラはボトルに返事を託して海へと流した。
偶然の始まりは、やがて手紙で綴られる生涯の語らいへと変わっていく。日々の天気、料理のレシピ、危険な作業、胸に秘めた喪失感、誰にも通じない冗談。陸の上では決して言葉にできない真実を、二人は紙の上でだけ打ち明け合った。隔たりは、その親密さを損なうどころか、それを可能にしていた。
歳月が流れた。灯台は自動化され、掘削リグはさらに深い海へと移っていく。それでも、手紙は海を渡り続けた。そしてついに、幾多の瓶で数えられた数十年の果てに、マーラとカシアンは日付と待ち合わせの場所を決める。
だが、そこで手紙は途絶えた。
再び届くようになった手紙の語り口は、本人のものに限りなく近かった。だが、筆跡が違っていた。
隔たりの中の愛、信義を守り抜く労苦、そして、誰かが書きかけた一文を最後に書き終えるのは誰なのか――潮風の荒々しさと温もりを湛えた、美しく切ない書簡体小説。
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作品情報
- シリーズ
- 〈来歴〉シリーズ
- 入手状況
- 制作中
- 言語
- 日本語
- 出版社
- LPH98.lifestyle
- 著者
- L.P.H. Nordhaven
- 読む順番
- 一冊で完結する小説


