借りものの真夜中

〈もしも〉シリーズ

借りものの真夜中

ミラが売るのは、午前零時から四時までの「真夜中」。だが、何者かがそれを二重に売り払っていた。

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物語

この一冊で待つもの

ニューマルクトにおいて、睡眠は商品だ。富める者は必要な時間を買い、貧しき者は自らの肉体から「闇」を切り取って売り払う。

夜勤看護師のミラ・オコンクウォは、弟の治療費を稼ぐため、使わない睡眠時間を貸し出している。見知らぬ人々が眠るあいだ、目覚めたまま、袖の下にニューラルバンドを忍ばせ、取引所でのもう一つの人生を抱えながら、セント・エリアン病院の蛍光灯が照らす廊下を行き来する。

やがて、記憶が滲み出し始める。入ったこともない台所のレモンケーキ、飼った覚えのない幼少期の犬、そして、他人の味がする恐怖が口の中に広がる。

永遠の眠りに囚われた買い手が見つかったとき、その男の瞳の奥では、あるあり得ない夢がループしていた。ミラはその夢の中の部屋に見覚えがあった。それは自分自身の部屋だった。ミラの「真夜中」は二重に売られており、公式の台帳は完璧に改ざんされていたのだ。

盗まれた時間を追ううちに、ミラは合法的な取引所の裏に潜む「ブルーアワー」へと足を踏み入れる。そこは、記憶と疲労、そして意識が同じ闇市場で取引される場所だった。取引を重ねるごとに、真実に近づき、そして、取引とは無関係に保てると思っていた自らの肉体から遠ざかっていく。

夜をマネーロンダリングしている何者かを暴くため、ミラは自らが証拠となるまで目覚め続けなければならない。だが、眠らない時間が長くなればなるほど、どの記憶が自分自身のものなのか、境界線は曖昧になっていく。

階級、記憶、そして自分だけのものだと信じている最後のプライベートな時間を描く、漂白されたノワール調の思弁スリラー。

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作品情報

シリーズ
〈もしも〉シリーズ
入手状況
制作中
言語
日本語
出版社
LPH98.lifestyle
著者
L.P.H. Nordhaven
読む順番
一冊で完結する小説