捨て子の楽器

〈来歴〉シリーズ

捨て子の楽器

何気なく持ち込まれたヴァイオリンの修理依頼。そこには、歴史が決して名を記さなかった製作者の気配が宿っていた。

制作中

物語

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ロンドンの修復師ノーラ・フリンは、ニスや工具の痕跡、そして遥か昔に消えた手の圧力を通して、ヴァイオリンを読み解くことができる。作業台に置かれたその楽器は一見ありふれたものだったが、内部を開けると、1761年から1765年にかけて交わされた手紙の束が発見された。

その製作様式は、現存するどの目録にも名前が残っていない女性を指し示していた。

所有者は数週間後の売却を計画している。ディーラーたちは汚点のない帰属証明を求め、学者たちは確証を欲する。一方、ノーラは自問する。隠された製作者の名を暴くことが、歴史の誤りを正すことになるのか、それとも一個人の生涯を他者の所有物となる「発見」へと変えてしまうのかを。

工房の帳簿から捨て子記録へと楽器の足跡を辿るうち、制度ではなく物体そのものに受け継がれてきた職人の伝統が浮かび上がってくる。売却の時限が迫る中、ノーラは決断を迫られる。信頼できる記録のすべてを超えて生き残った作品を残したその製作者を、どこまで追い求めるべきなのかを。

労働する女性たち、帰属を巡る倫理、そして物体自身が秘め続ける音楽を描き出す、余韻深い歴史ミステリー。

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作品情報

シリーズ
〈来歴〉シリーズ
入手状況
制作中
言語
日本語
出版社
LPH98.lifestyle
著者
L.P.H. Nordhaven
読む順番
一冊で完結する小説