
物語
この一冊で待つもの
悲しみの起こる場所ならどこへでも、エレベーターひと乗りで通じる。そこでは書記官たちが、別様に展開した人生から届く便りを処理している。七C号様式が運ぶのは、受取人のほうが死に、別の誰かが生き残って喪に服している分岐世界からの弔意だ。
マレン・オコイェは規則を知り尽くしている。何千というありえない喪失を目録に収めながら、妹イマニがまだ生きている分岐だけは、想像することを自らに禁じてきた。
そこへ、経路の誤りがひとつ。封緘された妹の七C号様式が、マレンの配達鞄に紛れ込む。
非再帰の規則は、それを自分自身へ届けることを禁じている。宛名欄が見知らぬ他人の悲しみへと定まっていくにつれ、慣れ親しんだ局の地理が、届けられない言葉のまわりで軋みはじめる。悲しみに経路を与えてくれる組織か、その組織がずっと拒みつづけてきた慰めか。マレンは選ばなければならない。
並行する人生、制度の慈悲、そしてどんな仕組みも安全には届けられない言葉をめぐる、奇妙であたたかな長編小説。
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作品情報
- シリーズ
- 〈もしも〉シリーズ
- 入手状況
- 刊行言語 English
- 言語
- 日本語
- 出版社
- LPH98.lifestyle
- 著者
- L.P.H. Nordhaven
- 読む順番
- 一冊で完結する小説


