
物語
この一冊で待つもの
夜明け、アウステーヤは波打ち際を歩き、耳を澄ます。海岸の琥珀を守る者として、石をその名で見分け、待っている正しい手へ返すのだ。返された琥珀は温かい。忘れられた琥珀は苦くなる。
ただ一つ、一年前から見つからない石がある。
かつて守り人だった祖母は、岸の読み方、記録のつけ方、凍える手で待つ辛抱をアウステーヤに教えた。だが祖母は、どれほど探しても見つからない石を失った。やがて病に倒れ、記録に埋められない空白を残して死んだ。
濡れた砂は、ほかの人々の名を差し出す。欠けたその名だけは決して返さない。
冬が光を細らせ、古い苦味が捜索に寄り添うなか、アウステーヤは選ばなければならない。守り人はいつまで同じ岸を歩けるのか。探し続けることが、誰かをもう一度失う方法に変わる前に。
悲しみが間違った場所を探しているとき、名は家へ帰れるのだろうか。
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作品情報
- シリーズ
- 〈もしも〉シリーズ
- 入手状況
- 制作中
- 言語
- 日本語
- 出版社
- LPH98.lifestyle
- 著者
- L.P.H. Nordhaven
- 読む順番
- 一冊で完結する小説


