残されたほう

〈もしも〉シリーズ

残されたほう

アヌークは、捨てられたものから人生を築き上げた。そして今、それを捨てた女が、戸口に立っている。

制作中

物語

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ヴェレンの街では、人生の大きな選択のたびに、生きた「残り」が置き去りにされる。選んだ者が先へと歩み去る一方で、選ばれなかったはずのもう一人の自分が、実体を持ってそこに残されるのだ。

十五年前、アヌークは台所のテーブルに取り残された。手元にあったのは、放棄された賃貸契約と、中途半端な時計職人の修業、そして名乗ることを許された名前だけだった。アヌークはそれらを、温かい部屋、職人としての確かな技術、いつしか自分自身のものとなった仕事、そして原型が知ることのなかった愛へと育て上げた。

だがそこへ、雨に濡れそぼり、アヌークとまったく同じ顔をした女が現れる。名前を、アパートを、そしてその中で築き上げたすべてを取り戻すために。ヴェレンには「置き去りにされた者」のための慣習はあっても、登記簿も、裁判所も、そして一つの人生を二人の女が同時に主張したときの規則も、いっさい存在しなかった。

ケトルはひとつ、コートは二着。二人のどちらを選ぶかを判断してくれる権威はどこにもない。どちらの女も本物でなくすことなく、尊厳を分かち合うことができるのかどうか、アヌークは自ら決めなければならない。

置き去りにされた自己と、誰にも選ばれなかった人生が持つ尊厳を描き出す、優しくも皮肉の効いた思弁小説。

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作品情報

シリーズ
〈もしも〉シリーズ
入手状況
制作中
言語
日本語
出版社
LPH98.lifestyle
著者
L.P.H. Nordhaven
読む順番
一冊で完結する小説