
物語
この一冊で待つもの
ベルゲンでは、人生を変えるはずだったのに起こらなかった出来事が、物理的な重さを残す。失われた手紙、取り下げられた申し出、あと一言で届かなかった愛。運び手たちは、持ち主が向き合える日まで、その「起こらなかったもの」を担う。
シグルは最高の運び手の一人だった。見知らぬ人々に均衡を取り戻しながら、自分が生きなかった人生の重荷を隠してきた。六十八歳で引退したばかりの今、部屋を横切ることさえままならない。
娘のイングリッドは、ついに運び手の資格を得た。一週間だけ、父の荷目録を一つずつ肩代わりすると申し出る。荷が移るたび、消えた仕事から父親に送らなかった手紙まで、シグルが封じた物語が開かれていく。イングリッドは真実を求める。シグルは、自分をさらさずに軽くなりたい。
重みが二人のあいだを行き来するなかで、彼らは決めなければならない。誰かに運ばれることは弱さなのか、それとも最も難しい信頼の形なのか。
生きられなかった人生、失望の内に隠れた慈しみ、そして自分の側の重さを誰かに預ける尊厳を描く、温かく静かな驚きに満ちた長編小説。
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作品情報
- シリーズ
- 〈もしも〉シリーズ
- 入手状況
- 制作中
- 言語
- 日本語
- 出版社
- LPH98.lifestyle
- 著者
- L.P.H. Nordhaven
- 読む順番
- 一冊で完結する小説


